=真澄記= 北の方角に清霊の滝がある。名は何と申すか。老夫が言う。それは「聳滝(そびえたき)」と言う。又の名を「定が滝」とも言う。 「聳滝とはいかに」と問えば、老人答えて「巌頭高尖にして、天を突くようで、常に雲霧が立ちこめ、滝の絶頭が見えるのはまれである。それゆえ聳滝と言う。禅定が滝とは、往古の開山がその滝つぼに下りて、禅定をしたことから、そう言うようになった。」 また、「皆、名を誤って、「聳滝」を「そび滝」、「禅定が滝」を「善治滝」などと言う。」