=真澄記= 大船小舟が集まり入って泊まる浦の屋形だから、くぐつの一人二人はいる。 沢山の舟が入る頃には、老いも若いもけじめなくなる。 くぐつが船宿に入ってきて、家のあかりを皆消して、舟人が寝ている間にもぐりこんでくる。 闇の中でうつつの中でさぐりより、やがて男に身をまかせるが、男も女も顔もわからず、舟人はだだ「酌子果報」として一夜の語らいをする。 夜明けともなれば皆ひそひそと別れて、友の女が誰だったのかも分からない。 これを「薦被(こもかぶり)」と言うそうだ。