=真澄記= 冬ごもりをするため、芦(あし)のすだれ、いなごも(稲菰)で雪垣というものを作って家を囲う。 やがて、雪がたくさん降ってきた。ここもかしこも、ただためらいもなく一日中降り積もっている。 降り積もって、軒も隠れ、低い屋根なんかは棟もわからなくなる程の雪である。 里の子は「かいしき」というものを手に持って、屋根の上の雪をかきおろしていた。 朝夕踏みなれた道も跡形も無く埋もれてしまったので、かの雪俵(俵靴)で踏み慣らしながら通う。 道程の近い隣へ行こうにも、雪袴(草色の麻で作った袴)というものを履いて、蓑帽子をかぶって行かなければならない。 「ああ、つらかましない(いやになるような)ふき(吹雪)だ。」と声を震わせて行くのに、「なにたまげる(何を驚く)。いつも冬はこういうものだ。」と言う。 後ろの男が「こや、くたましないやつだ(これは、障りのあるやつだ)。早く行きね。」と蓑を打ちたたいて過ぎるのを「許すまい」と戯れて通って行った。 |
雪垣
蓑など
雪の集落
真澄:かいしき棒
真澄:かんじき
真澄:俵靴(雪俵)
真澄:雪蓑(ゆきみの)