=真澄記=
この根っ子を切るのに、一番掘りは石雲丹のように、その色は黒い。
燃やして灰になると、その色は真っ白である。
二番掘りは綿うにのようで、あまりよくなく、その色は赤い。
これを燃やすと、灰はうす鼠色となって劣っている。
三番掘りはなお劣ることになる。
この一番掘りの灰をふるいにかけ、その灰を飯の液湯(のりゆ)の粘で練り固め、日に乾して、その灰を燃やすを、その白い色は雪のようである。
このふるいにかけたものを貢物(こもの)、土産にもしている。
これを田村灰を言って、くらべるべき品がないとほめているが、一番掘りはまれである。
長年の間に掘り尽くして、二番、三番を掘る所が多くなっている。
昔は他の村の人々も銭を出して掘っていたが、正徳四年(1714)の頃、別村(ことむら)の人には根っ子を掘らせないとの命令(おさた)があり、禁止されたそうである。