<小町は鹿の子> =真澄記=
小町姫は鹿の子であるという。
その由は、父よしざねに、世にも美しい女が通ってきた。
そして、小町姫を産み落として後、その姿を現したといわれている。
<我が父と契る> =真澄記=
幼いとき、小町姫は他人に盗まれて、都のあたりに住まいしているのを、父としざねは夢知らず、都に来た。
世にない雅(みやび)な女であれば、行く末を契り別れたが、月日を経て親ということがわかった。
小町姫は泣き叫んだが、甲斐もない。小町姫「われこそ、世にまれなる罪びと」と、以降世の誰とも露の契りもしなかったと言う。
「みやこじま、辺の別れなりけり」という歌に思いあたるような気もする。