=真澄記=
どこの山でもかな掘りになると、烟(けむり)という病(よろけ・塵肺病)にかかり、寿命も短く、四十まで生きるものはまれである。
国の風習として、四十二に厄年を祝うことは、富める者も貧しい者も等しくするだけであるが、かな堀りの家では、男が三十二歳になると、四十二の年祝いの気持ちで年賀をすると言う。
そのようであるから、女は誰でも若いうちに夫と死別し、老いるまでには七人・八人の夫を持つものが多い。
と声を詰まらせて語る。
わたくしも、涙が落ちてならなかった。