=真澄記=
遠い昔、浅利なにがしがここを治めていた頃から山口という抗主が金掘りを集めてこの大葛山を掘っている。
昔、萬會という金堀りがいた。抗主に従って抗穴に入ってタガネを打った。
抗主はその日一緒に抗に入った。良い金脈にあたり、萬會は掘りに掘って、ついに虎の牙ほどの黄金が天井から出て光っている。
抗主は竹火の傍で寝入っている。萬會はこれを懐に入れて逃げようと思った。
萬會はその金塊を打ち落とした。それは毬ほどの大きさで、落ちてころころと転がり、抗主にぶつかった。抗主は目を覚まして、金塊を見て驚き、萬會を見て驚いた。
まさに萬會に殺されると思い、その金塊を抱いて走りに走って抗口を抜け、家に逃げ帰って。
抗主はその後たいそう栄えたと言う。。
萬會は残った金を掘って、人知れず抗を出てどこかに消えたと言う。
いつの頃からか、黄金の露の恵みを求めて、人々がここに住んだという。