=真澄記=
北楢岡の地には、八沼一泉があったと言う。
むかし、きらきらとした乙女がいて、人に勝って肌の色が白く、「雪」と呼ばれていた。いかなるゆえんか、この「お雪」、沼に入って身を投げた。屍は浮きあがらなかた。
人々は「雪」が身を投げた池として「於由岐ケ池」と呼んだ。
<AKO記>
真澄は「於由岐ケ池」の隣の「蛇神沼(じゃなじんぬま)」で、不思議な光景を見ている。
真澄は「里で布久比(ふくび、さわり・おこり)ある人、木で太刀を作り、そのあたりの木の枝に掛けて祈願すれば治る」と書いている。
今では、真澄が見た「於由岐ケ池」も「蛇神沼」も埋め立てられて、どこにあるかもわからない。