=真澄記=
自覚大師(円仁)が陸奥修行のとき、白い毛がたくさん落ちているのを不思議に思い、山中に入った。
やがて、白い鹿にもたれて眠る老翁に出会った。「あなたはいかなるお人か。」と尋ねるに、「我は鹿と共にこの山を守護る(まもる)翁である。」と言う。
円仁はこの山を開いて「仏の流布(しるし)あれ。」と薬師如来を安置して、毛越寺金剛王院とした。