=真澄記= 鹿渡の山中に十八坂がある。 昔、16才になるまま子と17才になるまま子があった。 家人はこの娘に「この山坂を越えて青麻を摘み、18連の麻糸を「うみそ」に作れ。出来るまで家に帰ってくるな。」と言った。 娘らは、泣く泣く家を出て青麻を探した。妹は疲れで倒れ、死んだ。そこを「うば坂」と言う。 また姉も疲れて倒れ、死んだ。そこを「あね坂」と言う。 「うば」と言うのはこの地方の方言で「妹」のことだ。