=真澄記=
十王堂がある。木仏がいく柱もならんでいる。五六柱、幣とりもある。
これは人の戯れかと、かの国におわします仏たちかと戯れに聞けば、そうではないと笑う。
この荒川は、泥湯川・川原毛川・桑野澤川の三つの瀬が一つに落ち合っており、名を三津川と言う。
これを黄泉(よみ)の三途川になぞらえて、奪衣婆の像を作り据えて、それをもって優婆堂村を言っていた。
また、川原毛山より霊通山善導寺を三津川村に移して、優婆堂村も十王堂も善導寺もみな同じ堂となっている。
畑中に茶の木が二本生えている。「せんだん塚」と言って、修験者がここに居て、牛千駄の薪に火をかけて焼かれた跡だそうだ。